AI活用における車輪の再発明PoCを避けるには

January 01, 2025

これまでに、自社専用の生成AIシステムを開発して欲しいという相談を受けるなかで、投資対効果の観点から開発やPoCをやめるべきだとお伝えすることがしばしばある。その理由の最も多いものとして、検討している取り組みが「車輪の再発明」に繋がる可能性が高いと判断するパターンが挙げられる。生成AIは、技術進化のペースが極めて速い技術領域であり、毎月/毎週のように機能強化や新たなツールの台頭が進むため、取り組みによっては「市中のツールの進化を待つ」という戦略が有効である。


今回は、自社独自の生成AIの活用やシステム開発を検討する際に、結果として無駄となってしまう可能性の高い取り組みを判断するフレームワークと、取るべき推進の方向性を紹介する。今後自社でのAI活用を検討されている皆様の一助となれば幸いである。

車輪の再発明PoCを避けるためのフレームワークと取るべき方針

貴社の検討する取り組みが車輪の再発明PoCである可能性が高いかを、判断するためのフレームワークは左の画像の通りである。
縦軸に解決する課題を解決するインパクトの大きさ、横軸に解決する課題/必要なシステムの自社独自性を取りマトリクスを組む。それぞれのセグメントの概要を紹介する。

1つ目のセグメントは、左上の課題解決のインパクト大×課題/AIシステムの独自性小のセグメントだ。例としては、大規模言語モデルの高精度化や画像生成の精度向上/機能強化、プレゼン資料作成ツールの開発などが挙げられる。
これらの取り組みは、実現すればインパクトは大きいが、課題や必要なシステムは幅広い企業で共通しており、自社が独自で開発する優先度は小さい。
このセグメントでは、自社で数百万をかけて独自のシステム開発した1.2ヶ月後に、ビックテックのAIモデルから完全上位互換である機能が拡充されてしまい、投資が水の泡になるといういわゆる「車輪の再発明」となってしまうケースが少ない。そのため、わざわざ自社でコストをかけて開発に取り組まずに、市中のツールの進化を待つという戦略が有効になることが多い。

 
2つ目のセグメントは、右上の課題解決のインパクト大×課題/AIシステムの独自性大のセグメントだ。例としては、自社の既存サービスの機能強化や生成AIを軸とした新規事業の開発、自社固有の業務課題解決に向けたシステム開発などが挙げられる。
これらの取り組みは、実現すればインパクトは大きく、課題や必要なシステムが自社独自のものであるため、開発に着手する優先度は高い。
このセグメントの取り組みに対して、いかに上手く投資をしていけるかが、幅広い業界で今後5~10年の競争優位性の源泉となるだろう。リーダーには、自社の事業戦略と連動させながら、適切な注力領域を見極める戦略的思考が求められる。


3つ目のセグメントは、左下の課題解決のインパクト小×課題/AIシステムの独自性小のセグメントだ。
このセグメントの取り組みに対しては、そもそも課題解決のインパクトが小さいため、基本的には様子見で、小さなコストや工数で導入できるツールが登場した場合に、導入を検討するという方針がマッチする。


4つ目のセグメントは、左下の課題解決のインパクト小×課題/AIシステムの独自性大のセグメントだ。 
このセグメントの取り組みに対しては、そもそも課題解決のインパクトが小さいのに加え、課題/AIシステムの独自性が大きいため、自社での開発が必要となる。そのため、基本的には投資対効果が極めて低くなるため、取り組みに着手しない判断が懸命であろう。
 

このように、ひとえに生成AI活用・開発といっても、その特徴に応じて取るべき方針は大きく異なる。生成AIの進化のペースがこれまでの技術領域と比べ、極めて速いという前提に適応した、最適な意思決定が求められる。


弊社は、「AI活用を検討しているが、投資対効果が判断できない、コストパフォーマンスの高い進め方を提案してほしい」といったご相談を数多く頂いています。ご興味を持たれたご担当者様は、ぜひ弊社にご相談いただけますと幸いです。

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